堺市長との対談

現場体験からの学びを~地域社会への貢献と融合~
地域と大学の連携について
堺市長:竹山 修身氏
プール学院大学・プール学院大学短期大学部学長:木村 一信氏

プール学院の目指すもの、堺市の目指すもの

木村 今日はお忙しいところ、時間を取っていただき、ありがとうございます。

竹山 いえいえ、どういたしまして。

木村 私どもプール学院大学の目指していることを、ぜひ市長に理解していただき、そしてまた市長の目指しておられることについて、一緒にできることがあれば、私どももそれを受け止め、協力できないか、ということで、この機会を設けていただきました。
 大学は、いま、大変厳しい状況下にありますが、私どもプール学院大学は、地域との連携を密にし、期待される人材を地域に送りだす大学づくりを目指しています。
 数年前に中教審の答申が出ました。大学は、旧帝大のような研究を目指す大学、特色のある教育を目指す大学、地域と密着して連携を深めていく大学など七つほどの役割が明確にされたんですね。その中で、私たちは、特色ある教育と、地域に密着した大学づくりを目指しています。
 竹山市長は、「堺市マスタープラン」の中で、「子育て」「歴史文化」「低炭素」の三つのプロジェクトを掲げておられます。「子育て」「歴史文化」については、まさにビジョンが重なっています。また、「低炭素」と密接に関連するモノづくりについても、その背景、基盤を研究するという形で一致するところがありますので、ぜひ一度お話ししたいと思いました。

竹山 ありがとうございます。私は、堺の文化は、5世紀に仁徳天皇陵がつくられたあたりから、大陸の文化、技術が渡来して、新しい発展がなされたというふうに理解しています。
 また堺は、中世の南蛮貿易の日本最大の拠点として栄え、芸能も含めたいろいろな新しい文化が花咲きました。「物の始まりは何でも堺」と言われるように、堺らしい独自なものは、海外文化とのコラボレーションの中から生まれてきたものだから、そういう伝統を私たちは大事にしたいと思っています。そして、現代においては、環境と共生する新しい文化との融合を図っていかなければならないでしょう。
 それと、もう一つは、ライフスタイル。新しい文化や環境を受け継ぎ、自らのライフスタイルを、より時代に合ったものに変えていきたいと思います。
 私は、これからは、スローライフな世界になっていくと思います。何でも効率だけではなくて、ゆったりとした自分らしい生き方が、まさに文化となってくるんじゃないかと思っています。その中でプール学院大学が目指している世界性とか、普遍性みたいなものが大事になってくると思います。

「国際堺学」の出版計画すすむ

木村 今、竹山市長のおっしゃったような、環境の問題とか、これからの私たちの生き方の問題を、学生にも、じっくりと理解してもらい、理解した学生が、それを社会に広めていき、地域社会の担い手の一人になっていくというような、そういう教育をしたいと思っているんです。
 この前、堺経営者協会の会合での挨拶で申し上げましたけど、「堺ユネスコ協会」を立ち上げ、事務局をプール学院におき、私が会長につとめさせていただいています。何としても、堺の持っている世界遺産やそれに匹敵する遺産を、きっちりと登録してもらおうと思います。
 それから、文化の継承は非常に大事であると思っています。今、私たちが企画している「国際堺学」というのを本にまとめて出版する予定にしています。国際都市堺を主題にいたしまして、堺市博物館の学芸員の方々にも書いていただきました。それから文学。堺は、与謝野晶子をはじめいろいろな文学がありますね。さらに、堺の経済と産業、それから堺の教育、こういうふうな章立てで、もうすぐ出ます。「国際堺学」というのは私のアイデアなんですが、既に「堺学」という言葉はあるんですね。

竹山 はい、あります。

木村 「国際」をつけて、「国際堺学」という名前を広められないかなと考えています。

地域社会との連携を模索

木村 竹山市長の文化行政、教育行政に関するビジョンをじっくりとお伺いしたいと思っていますが、私どもも、この間、地域社会連携を目指す大学づくりということで、具体化していっていることが幾つかあります。災害ボランティアはもちろんのことですが、ユニークなところではお香が挙げられます。伝統的なお香の奥野晴明堂さんとタイアップして、学生が仮想の会社をつくったんです。「やまとなでし香」という会社名で、商品名も考えて、仮想会社から発売し、学園祭などで売っています。
 泉ヶ丘駅前の活性化プロジェクトは期待通りに進展していないところもあるんですが、学生チャレンジショップということで、時間をかけて取り組みたい。英会話教室とか、東南アジアグッズや駄菓子を売るお店を開設しています。泉ヶ丘の高島屋のクリスマスイベントには、学生のハンドベル部で参加するとか、いろいろと試みています。それから、この夏から、堺北の北花田阪急店でのいろんなイベントにも積極的にかかわっていこうとしています。この店は、全部、私どもの学生がモデルになっています。

竹山 よろしいですね。(笑)

木村 夏休みの小学生を対象とした工作教室、これは非常に好評だったので、北花田阪急店さんも、ぜひ続けようとおっしゃっています。

竹山 なるほど。

木村 それから、大阪府立の大型児童館ビッグバンで「森の図書館」を開き、絵本の読みきかせ活動もやっています。
 こういう活動を通じて、プール学院大学とプール学院大学短期大学部の学生を実際に見てもらい、地域の人たちと連携を目指しているという姿勢を表現し理解してもらおうとしています。大変厚かましいようですが、私どものそういう動きに対して、竹山市長にもバックアップしていただければと思います。

竹山 おっしゃるとおりです。よく言われるんですが、まちづくりの基本は、若者、バカ者、よそ者が集まること。この三つの「者」によって、まちづくりが活性化する、普通の人ばかりでは、なかなか商店街やまちは活性化しないんですよ。よその人の目で見て活性化させるとか、若い人が入ってきて、新たな息吹きを巻き起こすとか、まあ言ってみたら、一途な人が入ってくることによって、このまちに刺激を与えることが必要です。そういうふうな活性化が図られなければ、私どものまちも、どんどん、どんどん、人が減っていくんです。何とか、大阪市と一味違うまちづくりが求められています。できたら大和川に関所でも設けようかと思っているんですけどね。(笑)

「おもろいで」といわれるまちに

竹山 関所を設ける前に、「堺に来たらおもろいで」と言われるような施策を打っていきたい。そのために第一に若者が堺東に来るように仕向けたいんです。今は堺の市役所の前に広場がありますが、あれをズドーンと郵便局まで全部広場にしてしまおう、市民交流広場にしてしまおうという構想があって、具体的に、もう合同庁舎は動いています。新たな建物をつくっています。ここで若い人が交流できるように、音楽活動をしたり、カフェをやったり、発表活動をしたり、そういうことができるような広場にしたいなと。
 それと、もう一つはお寺ですね。堺には南宗寺や本願寺、妙国寺など立派なお寺がたくさんあるので、お年寄りに来てもらって、お寺参りして、心の平安を得て、そのあたりで買い物をしていただいて、ほっこりしてもらえるような場所にしたい。若い人とお年寄りを堺東に連れて来たいと今考えています。
 ぜひ学生さんにも堺東に来てもらえるような魅力あるまちづくり、店づくりをするのが私たちの仕事だと思っています。大学とコラボしながら、「ここはプール学院のブース」とかいうのもつくりながら、いろいろな活動をしてもらえるようなことも考えています。

木村 学生が、お客さんとしてではなく、主体的にかかわり、つねに足を運ぶようなブースや学生経営のお店とかがうまくできればと思いますね。
 そこに若者がいると思えば、お年寄りも……。

竹山 孫の顔を見に来るような感じで。

現場体験を大切に

木村 私どもは、今年から国際文化学部に「教養学科」というのをつくったのですが、その趣旨は、そういうインターンシップとかフィールドワークで学生に現場を体験してもらおうというものです。
 だから授業も、外に出て、催し物とかインターンシップとか企業体験とかの社会活動を通じて学んだことを持ち帰り、座学でやって、また持って出て、持って帰って……と、これを学習スタイルにしているんです。それが単位になるんですね。ボランティアだけでなくて。

竹山 それらの取組を普通の会社にすることができるかもしれませんね。「メイド・イン・プール」の製品を売るとか、音楽をするとか……。

木村 私どもは、堺市の子ども青少年局 子育て支援部と協働して、堺市の公立・私立保育園の保育士さんの研修だとか、いろんな相談を受けたりする事業をこの2年間やってきています。先ほども申しました「森の図書館」での絵本の読み聞かせなど、子育て世代のお母さんの支援やお子さんたちの保育も授業の一環としてやっていますので、十分そういうお役に立つことができると思います。

竹山 そうですね。

子どもたちにも堺の魅力を

木村 もう一つ、市が教育委員会を通して打ち出しておられる「子ども堺学」は、プール学院の一人の教員が中心になって、その構想をほぼまとめ上げました。
 「子ども堺学」は、堺市としても随分力を入れておられますので、私どももエネルギーを注ぎ込んでいきたいと思います。

竹山 一番大事なのは、堺に生まれた子どもが、堺に誇りを持つこと、そういう教育をすることだと思っています。その第一は、やっぱり堺の歴史を知ってもらう、堺というのは、こんな素晴らしいところだと思ってもらうこと。そういうふうな「子ども堺学」が根づいていかなければならないと私は思っています。

木村 私も、この秋の後期から、1年生向けに「地域理解」という授業を持ちました。この前、堺の授業をしたら、みんな喜びました。「堺検定」をしたら知らないことが多くて、もっと堺のことを知りたいという感じになって大変盛り上がりました。教える私も堺について勉強しています。

ハーバード大学で堺の授業

木村 堺というのは非常に面白い都市で、この興味深い歴史と伝統はもっともっと知られていいんじゃないかと思います。

竹山 ハーバード大学にカール・ドイッチェという国際的政治学者がおられました。彼の授業の第一番目は「中世の堺の自治と自由」というテーマで、堺が自由・自治の都市だったことを教えるというふうなことを、私は蒲島熊本県知事から聞いたんです。ハーバードへ留学した蒲島さんは、この授業に感激したというふうに言っておられました。

木村 そうですか、ハーバードで堺の授業を。

竹山 そこで教えているんですよ、ハーバードで。

木村 日本人が知らないだけなんですね、そうですか。

竹山 すごい学者だと言っておられましたよ、それは。この間、5月に蒲島さんにお会いしたんです。そのときに「堺から来た」と言ったら、そういう話を先方からされました。

木村 あれだけの自治組織をつくり、文化的にもレベルの高い自由都市は、あの時代にはないんですよ、世界の中に。

竹山 ありません。あの時代どこにもないものが日本という国にあったということが歴史になっているんです。

木村 あの町衆の組織力とか、経済力とか、あるいは外へ目を向けた先進性とか、さまざまなことを、日本人はもっと共有しないといけませんね。

竹山 2年前の4月にカンボジアとベトナムに行って、アンコールワットへ行ってきたんです。アンコールワットに堺の商人が来て墨書つまり落書きしているんです。17世紀の話なんですが、彼は、「こんな立派なものがあるのだから、ここは天竺だ」と思ったらしい。
 また、ベトナムにホイヤンというところがあるのですが、そこには具足さんという堺の町商人の墓があるんですよ、現地の人がまだ守ってくれているんです。

木村 その子孫が、プール学院で前事務局長を務めていました。

竹山 そうなんです。堺商人の進取の気風をまさに体現するようなことが、東南アジアの各地にあるんですよ。

木村 フィリピンもそうですね。

竹山 カンボジアには「ウドン」という地名があるんです。それは日本のうどんのことらしい。多分、堺の商人がそこにもいたのでしょう。この間、カンボジアの外務大臣にお会いしたときに、そのように言っておられました。

木村 そうですか。

これからのキーワード「多文化共生」

竹山 今の子は、どうも内向きなっているけれど、これからは、もっと外向きにならなくては。堺は、こういうふうに交易で栄えて、みんな外へ行ったんだということを教えることによって励ましたい。それには、やっぱり教育が重要です。

木村 堺には外国籍の人も割合多いんですね。

竹山 多いですね。韓国、朝鮮はじめ中国やベトナムの方々、中南米の方々もおられます。

木村 やっぱり、そういう人たちと共生していくことが……。

竹山 多文化共生がこれからのキーワードです。

木村 多文化共生は非常に大切です。

竹山 きのうで終わりましたけど、「第4回堺・アセアンウィーク2012」というのをやってまして。ASEANの学生の皆さんが各小学校に行き、子どもたちに自分たちの文化を教えたんですよ。そしたら、子どもたちは、日本だけで生きているんじゃない、堺だけで生きているんじゃない、私達はいろいろな相互依存関係になっているのだということをわかってくれたと思いますね。

木村 私ども、フィリピンのタバオにあるミンダナオ国際大学と協定を結んでいまして、そこから留学生が数名来ているんです。彼らは、堺市内の学校に、英語の授業に行ったり、イベントに呼ばれたりして、みんなに喜ばれています。NHKのど自慢に出場して合格の鐘を鳴らした人もいます。

竹山 素晴らしいですね。

観光施設の案内ボランティアに

木村 先ほど市長がおっしゃった、いろんな古いお寺とか、それから名所とか、特に観光マスタープランなどを学生に教えていきたいのですが、行く行くは、ボランティアとして、そういう観光施設のご案内もできるかなと思っています。

竹山 ああ、いいですね。

木村 そういう、いろいろなことで学生に動いてもらうことが、私どもの教育の一環ともなるし、堺市にとってもメリットとなります。これをレールに乗せてやっていただけると、教員のほうも年間授業の中に組み込んでいけるんです。恒常的なパイプを結ばせていただけるとありがたいのですが。

竹山 ああ、いいですね。観光ボランティア協会というのがあって、観光ボランティアを、それぞれのところに派遣しているんです。その人たちはプライドを持っていますから、堺のことについて、とても詳しいんです。そこで研修を受け、観光ボランティアをしていただくことをお勧めします。

木村 市の観光部局と大学とのコラボレーションといいますか、大学の授業に、観光ボランティア協会の人が来て授業をしていただくとか……。

竹山 ああ、いいですよ。

木村 その代わり、そういうところに私どもの学生も、やっぱり積極的にかかわることによって認めてもらうとかね。

竹山 平均年齢65歳以上ですからね。若い学生さんが来たら喜びますよ。

「包括協定」と「科目等履修生」

木村 実は私どもは四條畷市とか、泉大津市とかと包括協定を結んでいるんです。泉大津市では、シリーズで私どもの教員が4回の講演をしました。受講した市民が「おもしろい、もっと聞いてみたい」と思ったら、「科目等履修生」というかたちで、泉大津市が受講料を出して、プール学院の授業に送り出してくれるんです。その代わり、私どもの講演に市からは一切お金は出ないんです。そのような形で、市民への文化的な活性化とか促しをやっています。そういうふうな包括協定を、ぜひ堺市とも結びたいと願っています。

竹山 包括というのは何か意味があるんですか。

木村 包括は、いろんな分野において、学生を派遣し、保育、教育など私どもが堺市のためにできること、部署でいえば観光、教育委員会、それから国際部とか色々なところが関係してきます。それらといちいち協定を結ぶわけにいきませんので、堺市長と私どもの学長が協定を結んで、大学として提供できるものは何なりと提供します、堺市からのご要望にお応えしていく、そういう協定を結ばせていただけたらと思います。具体的に、そのアイデアが出たら、その部署と私どものほうの部署とが話し合いをするという形です。

竹山 そうですか。

木村 今までは大学と大学とか、海外の大学と日本の大学とかいう協定は、私ども、もう幾つも結んでいますが、地域社会との連携を目指す大学としては、自治体と結ぶことが非常に重要なんですね。  堺市とは、教育委員会と結んでいますが、包括協定を結んでいないということで、これは大変だということで、今回この話をきっかけにと思いまして。

竹山 なるほど、ちょっと勉強させてください。

木村 はい、ぜひ、ご検討いただければありがたいと思います。実は、これまでも何度か事務局同士では話し合っています。

竹山 そうですね、それは私も聞いております。

木村 そこまできていることでもあり、竹山市長とのこの対談の機会にぜひということで、よろしくお願いします。

堺はすごい

木村 私は、この堺へ来てまだ3年弱なんですが、堺というのはすごいなと思っています。
 堺に来る前は、立命館大学で文学部長をしておりまして、京都の文化づくり、「京都学」の樹立を目指して何冊か本を出したりもしました。千宗室さんや池坊由紀さんとも随分親しくしていただき、「京の文化を立命大で」とずうっとやっていたんです。
 それで、堺に来たから、今度は「国際堺学」を考えていました。来てみたらびっくりしました、堺はすごいですね。

竹山 ただ、まだまだ発信の仕方が弱いんですね。というのは、堺の知名度というと、やはり政令指定都市の中では随分低いんですよ。境港市と間違えられたり……。

木村 ああ、そうですか。

竹山 仁徳天皇陵は奈良にあると間違われたり……。

木村 そんなことがあるのですね。

竹山 我々は、もっとPRしなくてはいけない。関西ではよく知られていますが、この間、埼玉大学経済学部に講演に行ったとき「仁徳天皇陵が堺にあるのを知っている人?」と尋ねたら1割ぐらいしか手が挙がりませんでした。
 関東に行くと、やっぱり大阪市の南にあるという程度で、明確には認知されていません。そのあたりをもっと、発信しなくてはなりません。最近でこそ、いろいろやってますけれども……。

木村 日本最古の街道は、あの竹之内街道なんですね。それもあまり知られていません。それから、私も今度、授業をするので調べてみるまで知らなかったんですが、日本で最も古い公園の一つは浜寺公園で、これは公園法ができた、ほぼ最初のころにできたんですね。そういうことをもっともっと知られないと、もったいないですね。

竹山 日本最古の木製灯台とか、日本で最初に飛行機が飛んだところとか、それもありますしね。

もっともっと世界に知られるべき堺

木村 熊本県知事にお会いされたということですが、熊本市が今度、政令都市になりました。それで熊本へ行かれたんですか。

竹山 そうです。指定都市市長会というのがありまして、熊本へ行きました。やっぱり、あそこは、お城でもっているところですね。すごいですね、熊本城というのは存在感がありますね。

木村 そうですね。

竹山 ところが熊本城は加藤清正ですね。その南に宇土市というのがあるんですけど、宇土市は小西行長築城の地なんですよ。

木村 小西行長は堺ですね。

竹山 宇土市の元松市長が、堺から市長さんが来たと歓迎してくれました。「宇土市の地は清正に虐げられた歴史があり、小西行長公を何とか復権させたい」という強い思いを持っておられます。その熱い思いに共感して、この間、小西行長公の銅像まで見てきました。

木村 そうですか。小西行長という人は、もともと堺の商人ですね。

竹山 父親は小西隆佐といって、堺にいたんです。

木村 だから本当に、もっともっと堺は知られないといけない。本当に世界の堺ですからね。

竹山 そうですね。1595年にオルテリウスという人が世界地図を作ったんですけど、その中で日本の中で都市が描かれているのは、京都と堺だけなんですね。

木村 驚くことですね。

竹山 その地図には江戸や大坂や博多もなかったんです。

木村 1595年といえば、関ヶ原の戦いの5年前ですね。

竹山 そうですね。

木村 いや、本当に、そういう堺の歴史・文化をもっともっと発信しないといけませんね。私たちの本も少し役に立てばいいんですけども、もっと大学が頑張らないといけませんね。

竹山 そんな歴史と文化を持つ堺を二つや三つに分割するなんて許せません。堺市は大阪市と違いメガロポリスでなくてもいいと思います。人間が生きるにあたって最適な町を目指すべきじゃないかと思います。メガロじゃなくても、コンパクトな世界都市を目指さないといけないのじゃないかと思っているんですよ。そういう意味で、大学に来ていただいている。大学という高等研究機関が、堺で生き生きと活動していただいている。それは非常に大事なことだと思うんです。

木村 そうですね、私どもも、そのように認識しています。

インドネシアとの交流

竹山 「アセアンウィーク」の関係で、一昨年春にベトナム・カンボジアに参りましたが、今回インドネシアの総領事さんから招へいを受けています。

木村 いいですね。

竹山 今月末、インドネシアへ行くんです。

木村 そうですか、どこを訪ねられるんですか。

竹山 ジョグジャカルタです。

木村 ジョグジャカルタ州の知事をしているハメンクブウォノ10世という人はスルタン(王様)なんですが、訪問されますか?

竹山 お会いします。

木村 私、非常に親しいんです。古都同士ということで、京都市とジョグジャカルタ市は姉妹都市なのです。それで京都へ来られた時、ガムラン(GAMELAN)というインドネシアの打楽器一式を京都市に寄付されたのですが、置く場所がないので、立命館大学が引き受けたんです。メッセージを書いていただき、私、少しインドネシア語がわかるので訳して飾ってあります。スルタンと奥さん、お孫さん、娘さん夫婦を1日かけて京都を案内したこともあります。大変気さくな人たちです。

竹山 そうですか。お会いする予定になっているので楽しみですね。

木村 私はインドネシアに数年滞在し、インドネシア大学というところで教えていたんです。だから、ジャカルタと交流するのでしたら、私も、お手伝いしたいなと思っています。  これからインドネシアは伸びますからね。

竹山 そうですね。人口2億3000万ですか。

木村 そうです。そのとおりです。

竹山 すごいですね。

木村 ユドヨノ大統領になって政治が随分安定しましたので、今からインドネシアはものすごく伸びるでしょう。人口が多く、資源が豊富なので、日本の企業は、かなり行ってますね。この1年でジャカルタの日本人の数が急速に増えました。

竹山 そうですか。

木村 ずうっと1万人ほどだったんですけど、今は1万5000人ぐらいになっています。しかし、韓国の人は5万人になっています。人口が日本の4割以下の国から5万人が繰り出してきているんです。

竹山 カンボジアでも韓国の商社、技術者がものすごく多くなったとききました。

木村 韓国のあのエネルギーはすごいですね。だから、堺も韓国を見習って、「堺から世界へ」という言葉を現実のものにするように……。

竹山 もうちょっと頑張って発信します。

木村 市長さんが先頭に立って……。

竹山 多方面からトップセールスを言われているんです。

木村 大学としても、研究員や留学生をお預かりし、お役に立てばと思います。いや、本当に堺の大学がもっともっと連携して、そういうことをしないといけませんね。やっぱり連携をしないと力にならないし。

130年の歴史を誇るプール学院

竹山 プール学院大学は、もともとクリスチャンの学校ですか。

木村 そうです。聖公会というイギリスの。

竹山 イギリス国教会。

木村 桃山学院大学もそうですし、立教大学や聖路加看護大学なんかもそうなんです。

竹山 なるほど、そうですか。

木村 設立して130年余り経ち、中等教育、高等教育では随分歴史があります。奉仕の気持ちとか、人を愛する気持ちとかが大学の中に息づいているなと感じられます。毎日、「チャペルタイム」という礼拝の時間がありまして、精神的な教育が浸透しているなというふうに思われます。

竹山 卒業生にはどんな方が?

木村 八千草薫さんとか三ツ矢歌子さん、それから坂本スミ子さん。坂本さんは同窓会にも出席され、去年は歌も歌われたんです。
 市長も存じだと思いますが、私どもの大学には国際文化学部があります。そのキーワードが「異文化間協働」ということなのです。市長がおっしゃった「国際性」は、まさに、その学問の研究分野に当たっていますし、教育そのものが、いわゆる座学だけではなくて、実践的な教育をしています。そういう意味では、ぜひとも堺市が、私どもの大学をどんどんお使い願えればありがたいなと思います。

竹山 地域連携というのはこれからのキーワードです。いろいろな企業の皆さん方、事業者の皆さん方、団体の皆さん方が地域で連携していただくというのは、我々のキーワードですので。プール学院との連携も大事です。

木村 学校へ入るのも、地域のグループに入るのも、企業に入るのも、いろいろな団体に入るのも、堺市と連携協定を結んでいると、その事業の一環としてというと、どんどん打って出やすいんです。そういう意味で、連携協定というのは大変ありがたいということがありますので、ぜひとも成文化をしていただければと思います。私ども、竹山市長のマスタープランに全面的に協力させていただき、一緒に堺を盛り上げていきたいという気持ちです。

竹山 大学と短期大学部に堺に来ていただいて、随分経つんですね。

木村 こちらに来てもう30年になります。よろしくお願いいたします。

竹山 ありがとうございます。

木村 貴重な時間をいただき、竹山市長のお気持ちといいますか、お考え、ビジョンが非常によく分かりました。これからの大学教育、地域とのつながりを進めていくのに役立てたいと思います。

竹山 ありがとうございます。そう言っていただいたら幸せです。

木村 今後ともよろしくお願いします。